司伝の過去作レビュー

『Lycoris リコリス』は2010年に発売された、スミヤ氏作の商業アダルトコミックである。
スミヤ氏はCOMIC LOやCOMIC快楽天に漫画を掲載しているエロ漫画家の先生だ。2010年の単行本だけに、本冊においては素朴な絵柄でロリ作品が描かれている。ここ最近の絵柄とはかなり違うため、その希少性も楽しめる作品集となっている。
本項では『Lycoris リコリス』の魅力と、それについての私の評価をまとめていきたい。
【収録作品】
- 冬がさむくて
- ハナゾノ
- マツリノハジ
- オハナシ
- ふたりはライバル
- 月の姫
- アタシノモノ
- ラヴリーゴースト
- 花火の灯り
- なぞなぞ
- condo
- エンドロール
『Lycoris リコリス』の魅力

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『Lycoris リコリス』は全12篇で構成されているオムニバス短編集だ。
ヒロインはJCが多く、全体としてもロリ揃い。おっぱいも貧乳が揃っており、スレンダーで線が細い印象。2010年の作品だけに作画の安定度こそいまいちだが、ビジュアル面はそれほど人を選ぶようなものではない。
ロリという共通点こそあれ、内容はかなりバラバラ。ロリものとしては珍しい、ちゃんと恋愛の空気感を持ついちゃラブが中心ながら、平安時代(?)を舞台にした時代ものもあるし、輪姦や虐待など、ハードな設定のものもある。その重さが没入感を上げ、本冊の一番の魅力になっている。

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お気に入りにはいくつかあげたい。恋愛ものは全て心地よい空気感があり、エロ漫画らしくないエロ漫画が楽しめる。「月の姫」は若い姫と宮仕えのインピオ作品。ヒロインとして姫がとても魅力的に映る。「アタシノモノ」は誰の告白もOKし、何股もかけているヒロインが相手の男たちに輪姦されるお話。これはスカッと系である。「花火の灯り」は義父に性的虐待を受けている姉を目撃し……というお話。インピオエッチも魅力だが、花火を見るシーンでしんみりしてしまう。今回は「ラヴリーゴースト」をピックアップ。
医者の柏原はナースからB2病棟での幽霊の噂を聞く。そこでは一年くらい前から由加里という少女の幽霊が気に入った人を引きずり込んでいるという。ナースに頼まれるままにB2病棟についていくと、そこで柏原は急に体の力が入らなくなり、眠ってしまう。朦朧としたまま目を開けると、そこには少女の姿があった。彼女は全裸になると、「あたしは貴方を見てたの」と言い、柏原のペニスを取り出し……。
少女の幽霊に逆レイプされるお話、と思いきや……。これは病気の少女の切ない恋物語である。優しい少女は自分の病気のことを理解しているからこそ、自分の気持ちを伝えられなかった。何とも切ない結末に泣きそうになる。綺麗にまとまった1篇である。

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作画不安がありながらも、非常に良い空気感が演出されており、見ごたえのある一冊だった。
【まとめ】Lycoris リコリス
司伝評価
絵柄 | |
物語 | |
キャラクター | |
抜き | |
ロリ |
- ロリ×恋愛ものが読みたい
- シナリオにこだわりたい
- 切ないお話が好き
『Lycoris リコリス』は以上のような方々にオススメしたい。エロ漫画としての評価はさておき、なかなか読ませてくれる作品集である。少なくとも、またこの先生の作品を読んでみたいと思わせる魅力は確保されている。
エロには没入感も重要で、日によってはエロい描写よりも実用性を上げることもある。そういう要素に長けている先生なのだと思った。
本作については以上である。それでは、またの機会に。

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