司伝の過去作レビュー

『花ひら蕩ろり』は2011年に発売された、鶴田文学(つるたぶんがく)氏作の商業アダルトコミックだ。
鶴田文学氏はホットミルクやメガストアなどに漫画を掲載しているエロ漫画家の先生である。繊細な作風で、特に思春期の性を描くことに長けている印象がある。そして、写実的なキャラ像により、独特な生々しさを演出する。
本項では『花ひら蕩ろり』の魅力と、それについての私の評価をまとめていきたい。
【収録作品】
- 旅は道ズレ 前後編
- 恋かさね
- じれったいの!
- だって怖いんだもん
- だって恋なんだもん?
- あねきゅーと
- 大きな声はおナカから
- 宿り道
『花ひら蕩ろり』の魅力

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『花ひら蕩ろり』は全9篇で構成されているオムニバス短編集だ。前後編は1セット、他にも「だって」から始まる2篇は、それぞれ独立しているがキャラは共通している。
ヒロインはほとんどJKで一部社会人や人妻がいる。いわゆる萌え系の美少女という絵柄ではないが、その分ヒロイン達が妙にリアリティのある存在に見えて、それが生々しさを作っている印象だ。
思春期の性衝動を活きしたシナリオが多く、ノスタルジーな気持ちにさせられる。その現実の思い出とリンクした感じが、読者を上手く憑依させてくれるように思う。鶴田文学氏はそういうところが非常に優れているのだろう。
セックスは全て和姦だ。いちゃラブもあるが、衝動的なものもそれなりにある。それらは全て派手なものではないのだが、その展開と状況設定により、描写以上にエロく感じられる。
お気に入りは冒頭の前後編、「旅は道ズレ」だ。修学旅行での少年少女の群像劇である。

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男子五人の部屋に遊びに行く女子、美保、麻衣子、加奈子の三人。加奈子の恋人、大樹の居る部屋には、美保の想い人である尾田もいる。いちゃつく加奈子と大樹の前で、美保も尾田と良い感じの雰囲気になっていた。そこに教師の見回りが来たため、みんなは急いで隠れる。美保、麻衣子、尾田は押し入れに、加奈子と大樹、他の男子たちは布団に隠れた。教師をやり過ごした生徒たちだったが、大樹の布団の中では、加奈子がフェラチオを始めていた。大樹はその姿を男子たちに晒すと、そのままみんなに自分たちのセックスを見せる。
一方、押し入れでは麻衣子が尾田を誘惑し、美保の前でセックスをする。裏切られたような気持ちになる美保だったが、麻衣子はそのまま尾田に美保ともするように言う。勢いで始める二人だが、その時に押し入れを開けられ……。
上が前編、下が後編となっている。この構成が見事で、前編では傍観者のような感覚で、同級生同士のセックスを見る視点で興奮する。後編では、自分が竿役に憑依するような感覚で、同級生に童貞を奪われ、両想いの女子とセックスをする。修学旅行の夜という青春の舞台で、リアルな思春期の強い衝動を生み出す自然な展開が作られていた。

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個人的には、鶴田文学氏は作者買いできる先生である。本冊についても、非常に使えるし楽しめる単行本だった。
【まとめ】花ひら蕩ろり
司伝評価
絵柄 | |
物語 | |
キャラクター | |
抜き | |
思春期 |
- 思春期の性衝動に興奮する
- 萌えよりも写実的なキャラ描写が好き
- JKの初心さが好き
『花ひら蕩ろり』は以上のような方々にオススメしたい。内から興奮させてくれる作品集であり、登場人物と共感しながら読むタイプの方にはぜひ読んでいただきたい。
学生時代と現在では、エロいイベントによる興奮度は大きく違う。例え傍観者の立場であっても、あの頃に戻ってこんな体験をしてみたいものである。
本作については以上である。それでは、またの機会に。

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