純愛リリシズム(美矢火)未成年じゃなくなったから

司伝の過去作レビュー

『純愛リリシズム』は2016年に発売された、美矢火（みやび）氏作の商業アダルトコミックだ。

美矢火氏はCOMIC BAVELなどに漫画を掲載しているエロ漫画家の先生である。女体のしなやかさを丁寧に表現し、絵柄の安定度も高い。内容としてはいちゃラブ系で、比較的大人の恋からセックスに至る話が多い。特に本冊はタイトルに“純愛”とあるだけあって、恋愛要素が強めとなっている。

本項では『純愛リリシズム』の魅力と、それについての私の評価をまとめていきたい。

【収録作品】

• 私の好きなおじさん×俺の好きな家出少女 上中下
• 看板娘
• プレゼント
• 出してもいいよ
• カガミ
• 快感旅行
• 恋は盲目

『純愛リリシズム』の魅力

『純愛リリシズム』は全9篇で構成されているオムニバス短編集だ。内「私の好きなおじさん×俺の好きな家出少女」は3篇の中編作品となっている。

ヒロインはほとんどが大人で、学生が少なめ。1篇のみJSかJCくらいのヒロインが居るが、多くは社会人である。胸もそのヒロインのみちっぱいで、それ以外は普乳～巨乳。絵柄の特徴でもあるが、キュッとしたウエストを持ったヒロインが多い。ビジュアルについても、特徴的な絵柄だけに、可愛いタイプより美人タイプに見える。

内容はどれも恋愛いちゃラブで、1対1のセックスである。関係性も恋人、両想いがほとんどで、遊びのセックスのような描写はないに等しい。中編の「私の好きなおじさん×俺の好きな家出少女」も、エロティックな展開ながらも、その出会いから結末まで、恋愛作品として成立している。

エロ描写は結構個性的で、人を選ぶ可能性あり。その激しさを表現するためか、アングルも大胆であり、見ようによってはアクロバティックなセックスをしているかのようにも見える。個人的にはそれほど好きじゃないのが本音である。

お気に入りの1篇は「プレゼント」。素直な恋愛作品である。

教師である竿役は、元生徒である紫藤アヤカに困らされていた。在学中に好意を見せてきた彼女だが、生徒と教師という関係の終わった現在では、部屋に訪れるだけで竿役に手を出させてくれなかった。彼女の誕生日、自らを祝うケーキを持って竿役の部屋に訪れた彼女は、竿役にプレゼントを求める。彼女がプレゼントとして求めたのは竿役で、強引に唇を奪うと……。

自分が未成年だから自分に手を出さなかったのだと思ったアヤカは、誕生日に竿役を求めた。そういうところが何ともいじらしくて可愛いじゃないか。まさに純愛といった彼女の好意がキレイな1篇。ラストで彼女の恋の理由が回想されるのだが、そこが読後感の良さにもなった。

絵柄と内容がアンバランスながら、“純愛”エッチが楽しめる一冊だった。

【まとめ】純愛リリシズム

司伝評価

• 恋愛作品が好き
• キュッとしたウエストのセクシー系美女が好み
• “大人のセックス”に惹かれる

『純愛リリシズム』は以上のような方々にオススメしたい。エロティックな恋愛作品として描かれており、恋とセックスがしっかりと繋がっている作品集だった。

だからこそ、なんとなくセックス描写に違和感があったのも事実。この表現力なら、もっとぶっ飛んだエロでもいけそうである。

本作については以上である。それでは、またの機会に。