官能びより/ヤマダユウヤ レビュー(しっとりといちゃラブセックス)

か行

私、司伝は恋愛セックスに憧れがある。恋からセックスに至る過程は未経験であるため、それらが今でもファンタジーのものなのである。風俗嬢に疑似恋愛をしてみようかとも考えるが、一度射精してしまえばそういう気も起きない。悲しいものだ。

普通のセックスが恋しい私にとって、雰囲気を大事にしてくれるエロ漫画は貴重である。セックスをするまでの空気感を肌に感じることで、空想を現実のように置き換えることができるのだ。

ヤマダユウヤ氏は、そういう生々しい空気感を作るのが上手いのではないだろうか。

司伝
司伝

今回はそんなヤマダユウヤ氏の作品をご紹介します。

官能びより/ヤマダユウヤについて。

官能びより/ヤマダユウヤとは

タイトル官能びより
著者ヤマダユウヤ
初版発行2019年
掲載誌・レーベルBAVEL COMICS
出版社文苑堂
ページ数205頁
形式オムニバス

漫画家・ヤマダユウヤ

ヤマダユウヤ氏のエロ漫画は、しっとりした雰囲気のものが多い。一つの短編の中のやり取りで、そのキャラクターたちの普段の会話が想像できるほどに、生々しい距離感を持っているから、セックスの前の雰囲気が上手く作れているのだと思う。

画力はかなり高い。キャラクター造形もそうだし、背景もそうだ。だからよりリアルな世界観が作れるのだろう。肝心の女性のヌードについても素晴らしい。女性の肉体のエロさ、美しさ、かわいらしさが凝縮されている。作者買いしても後悔しないクオリティだ。

作品・官能びより

『この疼きは…キミのせい』鬼才、ヤマダユウヤが放つ妖艶無比な2nd単行本がついに発売! 歪な恋でもアナタに伝えたい…『大人』と『少女』の狭間で揺れる乙女達の、狂おしく大胆な性衝動。キミの危うく儚い仕草は、僕の理性を凍らせる…! 年の差愛を大胆に描く『官能日和』『私の先生』や甘酸っぱい青春群青劇『路地裏のアリス』など、漫画好きを唸らせる、大人なエロ漫画をどーんと9作品収録ッ! 艶やかで生々しく、そしてエロティックな究極の純愛綺譚を見逃すな!

官能びより【特装版】 [文苑堂] | DLsite 成年コミック – R18

官能びよりは前後編となっているものを含め、全9篇で構成されている。どれもいかにも官能的な作品となっている。

かわいそうな作品もなく、全て見ていて嫌な感じのしない。どれも恋愛感情を伴った正しいセックスだ。それなのに、とてもエロティックに描けているのが、本作の素晴らしいところである。

ヒロインキャラクターはどれも大人と少女の間くらいの女子だ。ようやく女性としてのエロさがにじみ出てきたような肉体のキャラクターはみんなレベルが高い。外見、内面ともに魅力的なヒロインばかりである。

【各話解説】官能びより

それでは、官能びよりを一話ずつ解説していこう。

官能日和 前編

引用:https://www.dlsite.com/books/work/=/product_id/
BJ192260.html

 官能小説を書いている男は、姪のJK、あかりに取材協力をしてもらっている。取材を続けるうちに、あかりはすっかり従順になり、すでにセックスをする関係になっていた。

前編ということもあり、男のモノローグであかりの従順っぷりを表現するにとどめている。しかし、その姿があまりにも官能的で、あかりのエロさに夢中になってしまう。男もきっとそうなのだろう。すでにあかりが男を操っているかのようにすら思う。中出ししなかったのが最後の抵抗だった。

官能日和 後編

 後編はあかり目線で話が進む。同級生の告白を断ると、おじとの関係に悩む。おじに協力するうちに、あかりはすっかりおじとの関係に浸っていた。
 あかりから誘惑し、おじとセックスをする。おじは何も言わずに中出しし、アフターピルを渡しつつも、またセックスを続ける。あかりは、おじが自分に溺れていることを確信していた。

おじとの関係によってどんどん官能的になり、それが同級生にまでバレてモテ始めるのが何となく生々しい。本編中はほとんどセックスシーンで、おじはクールで無口だし、あかりは一見従順なだけなのだが、奥では愛し合っているのが伝わってくる。短いセリフで細かい感情を伝える技術は必見である。良作だった。

秘密の関係

引用:https://www.dlsite.com/books/work/=/product_id/
BJ192260.html

 片桐の同僚、杉咲には彼氏がいる。それなのに、バイト帰りに杉咲は家飲みを誘ってきた。楽しく飲む中で、杉咲のローターを見つけてしまう。その現場を杉咲が目撃してしまい、杉咲は片桐を誘惑する。杉咲がコンドームを取り出すと、二人はセックスを始めた。

「どうして俺と…?」「私のことを好きだから」

何とも官能的である。杉咲は美人だが普通の女だ。ただの同僚という存在なのに、流れでセックスをする。会話にしてもなんにしても、やはり生々しい。だから杉咲がよりかわいく、エロく見えるのだ。

リアル大学生の恋愛のような話だった。個人的には大好きである。

司伝
司伝

本冊のお気に入りです。セックスまでの流れが良い。

猫耳Romance

引用:https://www.dlsite.com/books/work/=/product_id/
BJ192260.html

 ゲーム研究会の部長がエロゲ―のシナリオを書き上げた。声をあてる佐倉はセクハラだと冗談で責めながらも、部長が童貞かと問う。そして、部長は佐倉に女を教えてもらうことに。
 最初は見るだけと言っていたが、佐倉がフェラチオをすると、猫耳をつけた瞬間に部長が射精してしまう。そのまま佐倉に襲われるようにセックスをする。

ベタぼれ女子の逆レ○プという感じだが、この佐倉、やたらかわいい。常に余裕はあるももの、部長への好意が表情だけでも伝わってくる。こんな女なら、どんな男だって落とせるだろう。なぜこんな部長なんだか。

舞台設定が部活だからか、佐倉の胸がほどよいのがまたエロかった。良作だ。

司伝
司伝

お気に入りヒロインです。

路地裏のアリス

 市来はホテル街で元同級生の有栖咲とバッタリ遭遇する。有栖は中年男とやった後のようだった。市来はそのまま有栖とホテルに入る。そして、有栖に誘われるままセックスをする。

有栖の行動は恋が歪んでのものであり、当時の恋の相手である市来とつながることで満たされる。ここまでの作品でも思ったことだが、セックスの行為の中に行間があり、話の展開があっさりしていても、セックスでキャラクターの感情が伝わってくるようだった。

年の差熱情

 レイは友人のユウリの弟、マモルのシャツの匂いを嗅いでしまう。そのことをマモルに問われると、レイはマモルに体を求められ、それに応えてしまう。

シナリオについて語るのは難しい。マモルから襲うように関係を持つが、レイもそれを望んでいるし、マモルも無理にしようとはしていない。シャツのことなどきっかけに過ぎなかった。

その後、二人が愛のこもったセックスをしている姿を見れば、その愛情は一目瞭然である。歪んだ始まりだが、しっかり愛を感じる。この距離感のもどかしさが、なんとも股間に来る。

私の先生

 教師の新島は、教え子の由比沙弥加から送られてくる、自撮りのヌード写真にとまどっていた。物静かで真面目な生徒だけに、その意図が全く読めない。注意するも、再び送られてきた裸の写真を見て、新島はオナニーをしようとする。しかし、そこに沙弥加が現れる。沙弥加はコンドームを渡し、告白する。もう新島は我慢が効かず、セックスを始めることになった

小ぶりなおっぱいがかわいく、いかにも学生という肉体だけに、沙弥加が体を求めてくるのは背徳的に感じる。その幼さに不相応な妖艶さを見せる沙弥加が気に入れば、この1篇も好きになれるだろう。

あんなこと

 文芸部に所属する幸夫と眞子は、同じ「官能小説」が好きなことで仲良くなった。幸夫は、眞子の求める「あんなこと」に戸惑っていた。眞子は文芸部室内で、幸夫に目隠しをさせ、クンニさせていた。
 偶然目隠しが取れてしまうと、幸夫は眞子の生おまんこを見てしまう。それがきっかけで気まずくなった二人だが、眞子の告白を受け、二人は愛を確かめ合うことに体を重ねた。

ヤマダユウヤ氏は小さすぎず大きすぎずのおっぱいを描くのが上手い。その普通のおっぱいが何とも愛おしいのだ。眞子の体は等身大の女性に近く、物語の生々しさを演出している。

煙草と珈琲

 良子は一人暮らしの倫太郎の家に訪れる。狭い安アパートの一室には煙草の臭いがこもっていた。倫太郎は良子のコーヒーに苦情を言うと、タバコの臭いがするキスをする。そのまま二人はセックスになだれ込んだ。

年の差のある学生を安アパートに連れ込んでセックス。それだけで随分と生々しい空気になる。タバコの臭いまでこちらに伝わってきそうだ。明確に関係性を語られることもなく、当たり前のようにセックスをする。この雰囲気が好きである。

途中で良子がおしっこを漏らしてしまう。コーヒーの利尿作用だろう。そこまでリアリティを気にして作っているのだから恐ろしいものだ。

続 煙草と珈琲

こちらは特装版にだけ入っているという描き下ろしの続編だ。倫太郎が良子におしっこをさせることに目覚めたらしく、風呂場でおしっこをさせ、その勢いでセックスしている。

まとめ~官能びより~

司伝評価

絵柄5.0
物語4.5
キャラクター 4.5
抜き5.0
生々しさ5.0

官能びより歯ごたえのある一冊だった。ヤマダユウヤ氏の作り出す空気感に酔いしれると、中のキャラクターがより魅力的に感じてきて、そのセックスに夢中になれる。

本冊については以上である。それでは、またの機会に。

  

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