司伝の過去作レビュー

『声を聞かせて』はきいろいたまご氏の初めての単行本である。8編で構成されており、内2篇が前後編となっている、オムニバス短編集となっている。
きいろいたまご氏の絵柄は「美麗」というタイプではないが、その淡い青春物語のような作風とはよく合っている、シンプルで見やすい画風である。顔の描き方はリアル寄りなので、好みは分かれそうだ。しかし、その作風は若者の純粋な性模様を描いているため、初心者向けと言えるほど、万人受けする内容となっている。
『声を聞かせて』の魅力

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『声を聞かせて』では、そのほとんどの短編で、恋愛関係の中での初体験が描かれている。導入で二人の関係性を見せ、そこからセックスまでの流れが描写されるのだが、それが自然でありドキドキとするものに仕上がっているため、セックス時の興奮を主人公と同調することができるのである。
すでに付き合っていたり、実は両想いだったりするこのピュアな世界観。その距離感も生々しく、本当にあった初体験が描かれているようにすら感じる。

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前後編の「悪魔のささやき」だけは純愛とは言い難い部分がある。これは彼女との日常的なセックスを描きつつ、後編では彼女の友達と浮気をすることになるのである。この三人の関係はピュアではないが、作風には不思議と合っている。

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個人的にお気に入りの短編は、最初の「ずっと前から」である。東弥は幼なじみの悠希を、いつの頃からか異性として意識するようになっていた。無防備に接してくる悠希にもやもやする東弥は、ついに悠希の体に触れてしまう。すると、悠希の反応は意外なもので……
実は悠希のほうがずっと前から東弥を意識していた。そのことがわかるラストが何ともキュンとする出来で、いちゃラブ物としても優秀な短編だった。本冊の全体のテーマともよく合っている傑作である。
【まとめ】声を聞かせて
司伝評価
絵柄 | |
物語 | |
キャラクター | |
抜き | |
処女 |
- エロ漫画初心者である
- 恋愛・純愛物が好き
- いちゃラブなセックスが好き
- 初体験・処女にこだわりがある
『声を聞かせて』は以上の方々にオススメしたい。画力の高い漫画家陣の多いエロ漫画界では物足りない作画かもしれないが、初々しい関係を描いている本冊の雰囲気とはよく合っている。
ある意味、エロ漫画を読み過ぎている人にも良いかもしれない。こういうものを読むと、少し心が浄化される気がする。そういう方面にもオススメしておこう。
本作については以上である。それでは、またの機会に。
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