司伝の過去作レビュー

『僕らの境界』は2015年に発売された、関谷あさみ(せきやあさみ)氏作の商業アダルトコミックだ。
関谷あさみ氏はCOMIC JuicyやCOMIC BAVELなどに漫画を掲載しているエロ漫画家の先生である。これまで長らくJCくらいのロリ漫画を描いている。幼さの際立つ繊細なタッチで描かれる少女は、一見エロとは無縁に見えるほど清純で可愛らしい。内容としては、純愛ながら背徳的なものが多く、没入感の高いものとなっている。
本項では『僕らの境界』の魅力と、それについての私の評価をまとめていきたい。
【収録作品】
- 暑い夜
- 走れ!
- 溺れる夜に(+描きおろしページ)
- おとなりさんの窓
- ラストキング(+append ver./trial/ex.)
- dog’s imagination
- 山
- 街の灯
『僕らの境界』の魅力

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『僕らの境界』は全12篇で構成されているオムニバス短編集だ。内「ラストキング」は3篇の中編作品で、「山」と「街の灯」は視点が変わる連作となっている。また、それぞれの短編のページ数には結構バラつきがある。
記載のないものもあるが、雑誌的にもヒロインは全てJCだろう。おっぱいは揃ってちっぱい貧乳で、背もJSに見えるほど小さく、完全にロリである。余計な線の少ない繊細なタッチにより、描かれる少女たちは素朴な幼さがあり、どの子も親近感を覚える。エロとは無縁そうな可愛らしさとでも言うべきか、愛おしく描かれている。
エロい設定、というよりはリアリティが重視された、没入感の強い演出が絶品。どこかで実際にこんなことが起こっている、と思ってしまいそうな生々しい空気感が作られており、それがこちらの興奮を煽ってくる印象だ。決して激しいわけではないセックス描写も、その生々しさを逆に助長させており、変にこだわったエロ描写よりもよっぽど興奮するように作られている。
お話としても、決して重いわけではないのだが、妙に心に来るものが多い。外敵ではなく、心の内の闇と対峙するようなイメージで、それが没入感を生み出しているように思う。
お気に入りは良い意味で選びづらい。親戚の兄妹の性的な関係を知ってしまう「暑い夜」はなかなか無い視点で、“見てはいけないもの”として描かれる身内の近親相姦にハラハラする。「溺れる夜に」は近親相姦に悩む兄と当たり前のようになっている妹との対比が重い。「dog’s imagination」も思わぬ視点で、妙な臨場感がある。ここでは「走れ!」を取り上げたい。

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翔太にはJC1の妹がいる。芽依は無表情で愛嬌のない少女だが、芸能の仕事をしている。翔太はそれを読モ的な仕事と聞いていたが、実際はロリコン向けのジュニアアイドルであり、評判も悪かった。芽依に話を聞いてみると、テコ入れで今度はもっと際どい水着で撮るらしい。励ます翔太に、芽依は「頑張れるようにお守りほしい」と言い……。
表情が固くて愛嬌のない妹。だがこの妹がとにかく可愛い。一戦終えた後に、泣きながら本音をこぼすところが最高に愛おしい。最後には二人で親に反抗することになるのだが、ラストシーンの芽依の横顔はもはや美しいの域。とても感情の乗る1篇だった。

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独特な味のある一冊。個人的にはかなり気に入っている作品集である。
【まとめ】僕らの境界
司伝評価
絵柄 | |
物語 | |
キャラクター | |
抜き | |
JC |
- JCくらいのロリっ娘が好き
- 没入感は大事である
- 少女の体の柔らかさにこだわりたい
『僕らの境界』は以上のような方々にオススメしたい。可愛らしくも繊細な作品集。実用性は人を選ぶかもしれないが、非常に充実した内容となっている。
エロというものは表面的なものとは限らない。関谷あさみ氏はそれを痛感させてくれる先生の一人と言えるだろう。
本作については以上である。それでは、またの機会に。

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