司伝の過去作レビュー
『フルエルクチビル』は2013年に発売された、犬(いぬ)氏作の商業アダルトコミックである。
犬氏は純愛果実などに漫画を掲載していたエロ漫画家の先生だ。かつてはデビュー作である「初犬」がアダルトアニメ化などで注目を集めていた。作風としては恋愛作品が多く、一風変わったヒロインとの心と体の繋がりを描く。なお、本冊の「fazzy lips」もアダルトアニメ化している。
本項では『フルエルクチビル』の魅力と、それについての私の評価をまとめていきたい。
【収録作品】
- 放課後マリアージュ
- fazzy lips 1、2、0(全3話)
- 頭のおかしい妹は眼帯ネコミミでやってくる
- RED 前中後編
- 八つ橋先生と下田くん~二人はなかよし~
『フルエルクチビル』の魅力

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『フルエルクチビル』は全9篇で構成されているオムニバス短編集だ。内「fazzy lips」「RED」はそれぞれ全3篇の中編作品となっている。
学園ものが揃っているため、ヒロインはJKか女教師。おっぱいは巨乳がメインだが、一部貧乳のヒロインもいる。今風の絵柄ではないものの、いかにもアナログで描かれたような作画が妙に惹かれる。個性的な性格のヒロインが多いこともあり、ヒロインにこそ本冊の魅力があるように思う。

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内容は一応いちゃラブ系で、繊細な作品が多い。竿役とヒロインの関係性が絶妙で、ただ好き合っているだけの作品は無いに等しい。変わったものでは、二人が最後までセックスしない作品まである。この独特な恋愛観が、本冊を単純なエロ漫画にしないのだろう。
個性的な作品群なので、色々とご紹介したい。「放課後マリアージュ」は魔が差して生徒と関係を持ってしまう教師の物語。依存性の強いヒロインがちょっと恐ろしい1篇。「fazzy lips」も教師と生徒のお話。こちらは問題児ヒロインとの体の繋がりを中心とした恋愛模様と言った感じ。「頭のおかしい妹は眼帯ネコミミでやってくる」はタイトルままなので、ギャグとして読んだほうがいい。「八つ橋先生と下田くん~二人はなかよし~」は教師と生徒が妄想話をするお話。メタ発言もあり、こちらもおふざけな作品。お気に入りとしてピックアップするのは中編の「RED」。ヤリサーならぬ”ヤリ部活”に所属する竿役が、そこに入部してきた変わったヒロインに惹かれるお話である。
映研は、日ごろから生徒同士で乱交セックスをする、ヤリサー状態となっている。高中はそこに所属する一部員である。ある日、部長に連れられて一人の後輩が入部してくる。名前は七原ミズキ。高中は乱交している部室を見ても動じない彼女を見て、”変わった女”だと思った。その場で部長に抱かれるミズキを、高中はずっと意識していた。後日、高中は一人で部室の前にいるミズキに話しかける。高中にどうしてこの部にいるのかと問われた高中は、セックスしたさであることを明かす。そして、同じ質問をミズキに投げかけると、彼女はわからないから探そうとしていると明かす。それからもミズキのことをずっと気にする高中。部員に抱かれる彼女を見ながら、高中は彼女と二人きりでしたいと考え始めていた。ある日、鍵の管理が厳重な部室の鍵が一つ紛失してしまう。一人部室に向かった高中は、そこで部員以外の男に輪姦されるミズキを目撃し……。
まず、ミズキは決して美少女として描かれていない。短髪で発育が悪く細身。決して女性的な魅力があるわけでもないのに、高中はその不思議な雰囲気に惹かれてしまう。そして、満足することの望んで入部した彼女は、積極的に男達に抱かれていく。決して寝取られではないのだが、彼女が他の誰かに抱かれていると、読者側も高中と共感し、不思議な感情に至る。結局最後まで高中とミズキはセックスをしないのだが、最後には少し進展したようにも見える。エロ漫画でしか描けない、不思議な恋愛作品だった。

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当たり外れについてはあるとしか言いようがないが、全体で考えても面白い一冊だった。
【まとめ】フルエルクチビル
司伝評価
絵柄 | |
物語 | |
キャラクター | |
抜き | |
恋愛 |
- 変わった恋愛作品が読みたい
- スレンダーなヒロインが好み
- 学園ものが好き
『フルエルクチビル』は以上のような方々にオススメしたい。他にはない魅力のある作品集で、なかなか読み応えがあった。
どうでもいいが、私は「発育の悪い女の子」と聞くと期待するほうである。スレンダー貧乳ヒロイン、もっと増えて欲しい。
本作については以上である。それでは、またの機会に。
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