司伝の過去作レビュー

『おひさまはまわる』は2018年に発売された、荒田川にけい(あらたがわにけい)氏作の商業アダルトコミックだ。
荒田川にけい氏はCOMIC快楽天などに漫画を掲載しているエロ漫画家の先生だ。ロリ系の作品を手掛け、その絵柄は好みが分かれるが独特で味がある。舞台設定やその空気感も個性的で、エロ漫画以外でも読んでみたい魅力を感じる。本冊は「海外」をテーマにまとめられた作品集となっている。
本項では『おひさまはまわる』の魅力と、それについての私の評価をまとめていきたい。
【収録作品】
- 六畳間のエリーカ
- ニマちゃんのおもてなし
- サラ・オン・ザ・ビデオタワー
- オーロラひめのシルエ
- ソフィーのぶどうが実る頃
- ナオミに続く海
- ナナさんの背比べ
- フエの止めた時間
- クラリスのウェディングドレス
- メアリーは森の中
- おひさまはまわる(描き下ろし)
『おひさまはまわる』の魅力

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『おひさまはまわる』は全11篇で構成されているオムニバス短編集だ。描き下ろしである「おひさまはまわる」は「六畳間のエリーカ」の後日談だが、ギリギリ漫画として読める状態にしたラフ画のような作画となっている。

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ヒロインに明確な年齢描写はないが、だいたいJSかJCくらいである。おっぱいはちっぱいが基本だが、明確な貧乳から発育気味のもの、さらには巨乳までいる。それでもビジュアル的には全てのヒロインがロリっぽく、ロリ作品ということに間違いはない。また、ヒロインには素朴な可愛らしさがあり、その独特な絵柄が活かされている。
“海外”をテーマにしているため、ヒロインは全て外国人である。舞台もほとんどが国外で、牧歌的な世界感のお話もあれば、中世のようなお話もある。内容は純情ないちゃラブから背徳的なものまで様々。ただのいちゃラブであっても、その時代背景、設定を活かすため、一風変わった空気の作品として仕上がっている。
また、エロについてはその絵柄の好みによって受け入れられるかが大きく変わるだろう。特段激しい描写こそないが、お話の没入感によってエロく感じる。ロリ作品であることも含め、エロについては敷居が高いかもしれないが、個人的にはありである。

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どの作品も雰囲気があり、お気に入りを選ぶのは悩ましい。「六畳間のエリーカ」は無邪気で純粋なヒロインが可愛い。「ニマちゃんのおもてなし」もキレイな短編で、ヒロインが愛おしく感じる。「サラ・オン・ザ・ビデオタワー」も良い短編で、ロリものなのにリアリティも愛もある。褐色少女とのインピオおねショタ「ナオミに続く海」も良い。ここでは「オーロラひめのシルエ」をピックアップしよう。

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オーロラの見える町に住むシルエは、人見知りで同世代の子ともうまくなじめなかった。友達も作れず、どこに行くにも怖がって兄にくっついて歩き、兄に頼りきりだった。だから兄とセックスをすることも、兄に何も返せるものがないから仕方ないと思った。長い冬の有り余る時間を埋める方法が、セックス以外に思いつかないのだ。そんな兄が大学に進学し町を出ると聞き、モヤモヤするシルエ。町の男にホームパーティーに誘われると、シルエは断ろうとするのだが、兄に勧められ、一人で行くことになる。そこでシルエは男達に囲まれ、始めは普通のパーティーだったのだが、他の女性陣が帰ってしまうと、一人の男がシルエの体を触り始める。実はシルエが兄としていることは噂になっており……。
ヒロイン視点ながら没入感が凄い。人見知りで引っ込み思案なシルエは、兄に抱かれることにも無抵抗。この環境では兄妹ですることも不思議ではなく、シルエ視点で“兄としている背徳感”に陥れられる。それをだしに他の男に抱かれるのは悲劇的ではあるのだが、興奮が勝ってしまう。帰り道、オーロラを”檻みたい”と例える彼女が印象的。非常に質の高い短編だった。

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エロ漫画としては人を選ぶが、読みごたえは十分。味のある一冊である。
【まとめ】おひさまはまわる
司伝評価
絵柄 | |
物語 | |
キャラクター | |
抜き | |
ロリ |
- 独特な世界観、設定が好き
- ロリコンである
- 背徳感を覚える設定、シナリオが読みたい
『おひさまはまわる』は以上のような方々にオススメしたい。実用性はかなり人を選びそうだが、オンリーワンの魅力を持つ作品集であり、ぜひ読んでみてほしい一冊である。
ピックアップした作品こそかわいそうな要素があったが、それ以外は結構平和な作品ばかりなので、その辺は心配無用だ。全体的にはいちゃラブ系である。
本作については以上である。それでは、またの機会に。

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